発達凸凹 + 適応障害 = 発達障がい

 子どもの頃に、発達の凸凹に気が付かずに大人になった多くの人が社会人になってから、家族や友人、上司など周囲の人から理解が得られずに、否定や批判を受け続け、失敗や挫折の経験が積み重なると、自尊心の低下等により二次的に併存症やうつ病などの様々な問題を抱え、適応障がいを起こし、発達障がいを発生してしまいます。

(参考:「発達障害障害のいま」杉山登志郎(講談社))


発達障がいの特性

※イラスト出展元:厚生労働省Webサイト「発達障害の理解のために」より

1.発達障がい

 

 発達障がいとは、生まれつきの特性で、「病気」とは異なります。発達障がいはいくつかのタイプに分類されており、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害などが含まれます。

 これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるという点が共通しています。同じ人に、いくつかのタイプの発達障害があることも珍しくなく、そのため、同じ障害がある人同士でもまったく似ていないように見えることがあります。個人差がとても大きいという点が、「発達障がい」の特徴といえるかもしれません。

 

2.自閉症スペクトラム障がい

 

 現在の国際的診断基準の診断カテゴリーである広汎性発達障がい(PDD)とほぼ同じ群を指しており、自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれます。

 症状の強さに従って、いくつかの診断名に分類されますが、本質的には同じ1つの障害単位だと考えられています(スペクトラムとは「連続体」の意味です)。

典型的には、相互的な対人関係の障害、コミュニケーションの障害、興味や行動のこだわりの 3つの特徴が現れます。

 自閉症スペクトラム障がいの人は、最近では、約100人に1~2人存在すると報告されています。男性は女性より数倍多く、一家族に何人か存在することもあります。

 

3.注意欠如・多動性障がい(ADHD)

 

 発達年齢に見合わない多動‐衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が、7歳までに現れます。学童期の子どもには3~7%存在し、男性は女性より数倍多いと報告されています。男性の有病率は青年期には低くなりますが、女性の有病率は年齢を重ねても変化しないと報告されています。

 

4.学習障がい(LD)

 

 全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の事柄のみがとりわけ難しい状態をいいます。有病率は、確認の方法にもよりますが2~10%と見積もられており、読みの困難については、男性が女性より数倍多いと報告されています。

 

5.聴覚情報処理障害(APD)

 

 聴力の低下はみられないにも関わらず、脳の聴覚野の障がいがあるため、聞こえているけれども、分からない状態をいいます。聴覚的注意力の欠如がみられ、言語音の弁別や識別、音素や言語音の分別に困難がみられます。